皆さんこんにちは。
本日は一社店の髙橋が担当いたします。
さて先日は前十字靭帯(以降:ACL)について簡単に説明していきました。
本日は前回の続きを記載していこうと思います。
先日の記事をまだ見られていない方は、下記URLよりご一読ください。
https://bc-project.jp/blog_more.php?id=4425まず前回の記事のおさらいですが、ACLは
・大腿骨- 脛骨に付着し、膝の動揺を制限する
・1本の靭帯だが、2つの線維から成り立つ
・自己修復機能は無いとされている
という特徴があります。
2本の線維から成り立つという点に関して、さらに言うならば
・前内側線維束は膝の屈曲位で伸張する
・後外側線維束は膝の伸展位で伸張する
と言われています。
2つの線維で、膝の様々な動きに制限がかかるようになっています。
自己修復機能が無いため、放置していても完治はしません。
スポーツ復帰を目指す人や、膝の不安定感を感じ、どうにか改善したいという方は再建手術になります。
これは切れてしまったACLの代わりを移植し、新たに靭帯としての機能を補うもの。
もちろんACLを断裂された全員が適応かと言われたら、そうでは無いかもしれません。
生活環境の点や運動されない方からしたら、必須とは言えないかと。
しかし、膝崩れが生じる可能性は無きにしも非ずです。
頻回に膝崩れを生じ、半月板や軟骨損傷となっては元も子もありません…
移植する代替の靭帯に関しては、これまで様々なものが使われてきましたが現在では自家腱移植が主流です。
・膝のお皿(膝蓋骨)の下にある「膝蓋腱」というものを代用する:BTB法
・もも裏内側の「半腱様筋(+薄筋)」というものを代用する:ST法(STG法)
どちらの方法で行われるかは、主治医の先生が状況等考慮し決定すると思います。
ちなみに私が以前勤めていた病院ではST法(STG法)がメインでした。
ST法(STG法)の場合、移植腱を2本作成します。
先に述べた2本の線維の走行に合うように腱を移植します。これを「解剖学的再建」と言います。
形状的にも機能的にも生まれ持った靭帯を再現する「解剖学的再建」を行うことで臨床成績が向上すると考えられています。1)
手術についてはこのくらいでしょうか。続いてリハビリです。
プロトコールは病院ごとに異なると思いますので、ここでの明言は避けます。手術される方は、手術先の病院の方針に従ってください。
ほとんどの場合、手術した翌日からリハビリが開始されると思います。
当たり前ですが、術後は膝周囲を切開したりしていますから痛いです。笑
疼痛コントロールしながら、地味で大変なリハビリが始まります。
地味だからといって手を抜くと、後々大変になります。
また早期から頑張りすぎると炎症が出てきたり、最悪の場合、再建靭帯にストレスがかかり再断裂や抜ける可能性もあります。
急ぎたくなる気持ちも分かりますが焦らずに。
順序立ててリハビリは組んでありますので、医師、理学療法士さんを信頼しましょう。
リハビリの進行としては
①患側(怪我した側)の膝の曲げ伸ばしの角度
②太ももの太さの左右差、術前との差
③患側の筋力の程度(≠戻り具合)
によって少し変わります。
①リハビリの期間が進むに従い、膝の曲げ伸ばし角度も大きくなります。
しっかり伸ばしきれる、曲げきれるということはすごく重要です。
手術後3ヶ月くらいには左右差が無いくらいまでは可動域を獲得していきたいですね。
②太ももの太さを確認し、痩せこけた筋肉がどの程度回復しているのかを判断します。
術後早期は膝を動かす事があまりできず、再建靭帯もあり膝への負担を減らすことから荷重制限を強いられます。
水腫や荷重制限などもあり、身体の適応として膝周囲の筋肉が痩せこけてしまいます。

特にこの部位がペッコリなくなります。
すごく重要な筋肉です。内側広筋と言います。
術前で事前に測っておき、術後の定期測定でどの程度まで戻っているかを確認します。
※術前測定自体が受傷前より細くなっている可能性は大いにあります。術前の太さはあくまで目安です。
③患側の筋力の程度を測るために、このような機器を用いたりします。

※酒井医療さんより
https://www.sakaimed.co.jp/measurement_analysis/rihariha/physical-fitness-measurement/biodex-system-4/・体重あたり、どのくらいの筋力を発揮できているか
・力発揮の波形は左右で比較し、大きな差はないか
・発揮筋力の左右差はないか
などこの機器で調べる事ができます。
ここでの数値をもとに、競技への部分復帰などの制限の緩和がされます。
いくら膝の可動域が戻っても、周計囲が戻ってきても、筋力がなければ膝の安定性を確保できません。
数値に満たない場合は、再検査までに必死にトレーニングを行う必要があります。
検査をパスして、ようやくジョギングなどが許可されます。
許可されたからといって診察後の帰り道にジョギングしながら帰宅するのは危ないので少し待ちましょう。
リハビリスタッフは医師のジョギング許可の診断の元、トレーニング強度を上げていきます。
やっとここまできて地味で面白く無いトレーニングが少しずつ減っていきます。
こんな感じで少しずつ、でも着実に状態を良くしていき、約一年の月日を経て復帰していきます。
※復帰許可を出すのも医師です。自身の判断は絶対にしないでください。コーチや監督に「出ないとメンバーから外す」と
言われても自己判断をしてはいけません。再断裂しますよ。自己判断の復帰での再断裂は自己責任です。
最近よく聞くACLについて2回に分け記載していきました。
この場で記載した内容は、ACLについての一部の情報でしかありません。
またこの内容は、臨床の場では少し古い情報の可能性もあります。
医学は日々進歩し、術式やプロトコールも変化していきます。もしかすると、明日新たな術式などが発表される可能性も…
次はお客様よりご要望のあった肩甲骨周囲についてを内容にしていこうと思います。
お楽しみに!!

1)van Eck C, Martins CA, Vyas SM, el al. Femoral intercondylar notch shape and dimensions in ACL-injured patients.
Knee Surg Sports Traumatol Arthosc 2010;9:1257-1262
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